A領域を受けた感想

ICT支援員認定試験のA領域:実践的知識(CBT多肢選択式36問90分、合格点65点以上、ICT支援員上級の受験資格を得るには75点以上)を受けてきたので感想を。ただし具体的にどんな問題が出たかとかの詳細は控えておく。

知識よりも良識が問われた感じ

過去問がほどんど公開されていないので、事前にやっていったことといえばICT支援員ハンドブックとICT教育環境整備ハンドブックを読んだくらいで、あとはこれまでの自己の知識・経験勝負だと思って臨んだ。

ICT支援員認定試験公式サイトの問題例(A領域)を解いてみた - ICT支援員認定試験合格までの記録

で見た例題のように、4〜5個連続で適切かどうかを選ばせる問題が出るが、この出題形式は相当考え甲斐があった。特に適切なものが何個あるか書かれていない場合が非常に悩ましく、単なる暗記力や知識ではなく常識・良識も含めた総合的思考力が問われていたと思う。もし4〜5個のうち一つでも間違えたら0点だというなら厳しすぎるが、部分点があるようなので、知らない内容でも良識などに従っていろいろ考える余地がある。

知識問題の要求レベルは結構高い

知識不足で知らない内容がかなりあったが、「そんな重箱の隅、知るわけない」と感じる問題は特になかった。知らなかったのは自分の経験が不足しているためで、ちゃんとした(私が「こうあるべき」と思う)ICT支援員ならこういうことも知っているだろうな、と納得できる範囲だった。

制限時間は私には厳しめ

1問ごとに制限時間があって見返したりできない形式なこともあって、緊張感をもって取り組めた。ただ、私の頭の回転が遅いせいか、思考を要する問題では時間が足りないことがあった。とはいえ過去問がないので事前に練習しておくというのも難しい。実力が問われたということか。

まとめ

資格試験の選択肢問題概ねすべてに言えることだが、もし過去問が公開されていたら単なる暗記ゲーに成り下がっていただろう。過去問や出題範囲が公開されていないことが選択式問題にこれほど思考力を要求する効果があるとは認識していなかった*1。もし今後ICT支援員認定試験が人気の資格になれば問題が徐々に流出しこのメリットも失われていくだろうが、今はよい感じになっている。

特に対策せずとも良識をもとにしっかり考えて回答していけば合格点には達すると思うが、逆に高得点を取るにはかなりの実務経験が必要だと感じた。総じて、予想よりは難しく結構間違えたと思うが、よい試験内容で、楽しめた*2

*1:その代わり、「過去問などを学習することで基礎をまんべんなく学べる」という資格試験の利点の一つは失われている。

*2:上から目線で言っているが、絶対の自信があるわけではない。65点は取れていると思うのだが…。

ICT教育環境整備ハンドブック

A領域の試験日が2021/6/13に迫ってきた。一度ICT支援員ハンドブックを読み返しておくか、ということでウェブ検索してみると、「ICT教育環境整備ハンドブック」*1というのが見つかった。

「ICT教育環境整備ハンドブック2020」のPDFデータ公開のお知らせ - 日本教育情報化振興会 JAPET&CEC

ICT支援員ハンドブックを出したCEC(一般財団法人コンピュータ教育推進センター)の後継組織であるJAPET&CEC(一般社団法人日本教育情報化振興会)が毎年出しているもので、現在の最新版は2020 改訂版*2

「ICT教育環境整備ハンドブック2020 改訂版」発刊のお知らせ - 日本教育情報化振興会 JAPET&CEC

ICT支援員向けではなく先生と教育行政関係者向けに書かれているものの、ICT支援員ハンドブックは2014/2/25の1版から更新されておらずやや古い感があるが、ICT教育環境整備ハンドブックは毎年出されている。最近の情報にキャッチアップするために読んでみたが、よい資料。個人的に用語をまとめておく:

用語 説明
ECS Educational Computer Systems, Limited. 日本教育情報機器株式会社。国内唯一の教育用コンピューター専門の賃貸会社。このハンドブックの制作に協力。
OECD Organisation for Economic Co-operation and Development. 経済協力開発機構
PISA Programme for International Student Assessment. 生徒の学習到達度調査。OECD が行う。
TALIS Teaching and Learning International Survey. 国際教員指導環境調査。OECD が行う。
Scratch 教育用のプログラミング言語で、世界的に有名。
Viscuit(ビスケット) 教育用のビジュアルプログラミング言語で、日本の原田康徳氏により開発。
アンプラグド 実際のコンピューターを用いずにプログラミングについて学習すること。
ICT活用教育アドバイザー 文部科学省が活用事業を実施。
統合型校務支援システム 例として、Google で検索した結果「デジタル校務」(内田洋行社)、「School Engine(スクールエンジン)」(システムディ社)、「EDUCOMマネージャーC4th」(EDUCOM社)がある。
APPLIC The Association for Promotion of Public Local Information and Communication. 一般財団法人全国地域情報化推進協会。教育情報アプリケーションユニット標準仕様を作成。標準仕様に対応した校務支援システムにはAPPLIC 推奨マークが付与されている。
LGWAN Local Government Wide Area Network. 総合行政ネットワーク。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運営。
ALT Assistant Language Teacher. 外国語指導助手。
指導主事 教育委員会に置かれる専門的職員で、主に学校教育を担当。
アクティブ・ラーニング 主体的、対話的で深い学習。

その他:

  • 遠隔地の外部人材の支援を受けた授業

    小中学校では、遠隔地の外部人材に全面的に授業を依頼することはできない。高等学校では、この形態の授業によって取得できる単位は36が上限。

*1:ICTなどの表記は半角が好みだが、本家にて全角になっているので、ここではそれに従う。

*2:最初、改訂版があることに気付かなかった。

教育情報化コーディネータ検定試験からみるICT支援員認定試験(A領域)の採点基準

ICT支援員認定試験を行う情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)は、教育情報化コーディネータ検定試験も行っている*1。教育情報化コーディネータはITCE(Information Technology Coordinator for Education)と呼ばれる。

ICT支援員認定試験のA領域は過去問が公開されていないが、その対策としてITCE 3級の問題も「参考にしていただければよいと思います」と公式サイトのFAQ に書かれている。ITCE 3級の過去問は有料販売されているが、私は購入していないので、次回のICT支援員認定試験日2021/6/13(日)が近くなってきたが、特に何も対策していない。

ただ、ITCE 3級の過去問は有料だが、ITCE 2級1次の過去問は一部公開されているので見てみた:

2019年度 2級1次検定試験 選択肢問題(専門知識) - ITCE 教育情報化コーディネータ検定試験公式サイト

問題の印象としては、難しい。これはITCE 2級の問題なので、ITCE 3級相当とされるICT支援員認定試験のA領域はもっと易しいはず。

ITCE 2級の難易度はさておき、以前の記事 ICT支援員認定試験公式サイトの問題例(A領域)を解いてみた - ICT支援員認定試験合格までの記録 にて

そして採点基準がわからないが、もし5個の事項に対しすべて正解した場合のみ得点を与え、1個でも間違えれば0点というのであれば、実質この1問で5問連続出題しているのと同じかそれ以上で、非常に厳しい出題形式だ。

と書いたが、前述のITCE 2級過去問ページに興味深い記述があった:

※本Webページは「教育情報化コーディネータ検定試験研究会」のメンバーによって作成されたものです。
「答えと正答率を見る」ボタンの内容は、参考資料としての例であるとお考えください。 時代の変化により、正解が変わるものもありますし、価値判断を問うている問題については、正解はなく選択肢に重みをつけて採点されている場合があるようです*2
なお、配点については公開されておりませんが、正答率は、認定委員会に示された得点率(選択肢に重みをつけて採点されている問題の場合を配慮して、正答率ではなく得点率と呼んでいる)を記載しています。

ICT支援員とITCE 2級の採点基準が同じとは限らないが、同じJNK4 が行っている試験であるので、同じである可能性はまあまあ高いと思われる。だとすれば、選択式問題でも「正解の選択肢は一つで他は0点」のような非常に厳しい採点基準ではなく、部分点をもらえたりするようだ。正解を一つ選ぶ問題に、二つ以上正解があるような出題も許されることになる。そのような場合に正解が一つと思い込み、無駄に思い悩むのは得策でないことがわかった。

*1:ICT支援員認定試験は2013年度から、教育情報化コーディネータ検定試験は2001年度から。

*2:ICT支援員認定試験でもそうだったが、自分のところで実施している試験なのに、なぜか推測・他人事のように書かれている。それはこの「~研究会」なるところに試験作成委託しているためだったようだ。

CBT-Solutions での試験予約

試験の予約はCBT-Solutions のページ、 ICT支援員認定 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト から行う。個人的に少々引っかかったところをメモしておく。

Internet Explorer 11にしか対応していない…わけでもない

ログインするために「新規登録(初めての方)」ボタンを押すと、「ご利用環境について 以下のページをご参照ください。」ということでhttp://cbt-s.com/page/terms_of_use.html が案内される。ここには対応ブラウザーInternet Explorer 11.x のみとある。

後述の「以下の設定をすべておこなってください」も面倒なのでFirefox で行ったところ、特に問題は出なかった(ように思われる)。

また、試験予約した後に 受験者ご利用規約 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト が案内されて気付いたことだが、ここの推奨環境にはIE 11の他にGoogle Chrome 83.x, edge 83.x, Safari 13.x が挙げられている。

SSL 2.0を使用する」「SSL3.0を使用する」はチェックしてはいけない

前述の利用環境のページではIE 11に対し「以下の設定をすべておこなってください」といろいろ指示されている。その中に

SSLについて
1. 「ツール」メニューから「インターネットオプション」をクリック
2. 「詳細設定」タブをクリック
3. 「設定」にある「SSL2.0を使用する」と「SSL3.0を使用する」にチェック
4. 「OK」をクリック

のように今や脆弱で絶対有効にすべきでないSSL3.0を有効にしなさい、とある。この指示を信じてSSL3.0を有効には決してしないように。なお、手元のIE 11の設定を確認してみると「SSL3.0を使用する」のチェックボックスはあったが「SSL2.0を使用する」はそもそも存在しない。

ユーザーID に含めなければならない数字

ユーザーID とパスワードを登録する際、以下のように表示された:

お好きなIDをご入力下さい。(半角英数字のみご登録可能となります)
「半角英字」「半角数字」の文字をどちらも最低1文字以上使ってください。なお、記号(+-:,_%$#...等)は利用できません。
例: 可能 ○:cbts0101(英字+数字でOK)
  不可 ×:abcde(英字のみはNG)、012345(数字のみはNG)、pass@cbt-s%(記号はNG)

パスワードに数字必須を指定してくるサイトはたまにあるが、ユーザーID に数字必須のような指定をしてくるサイトは記憶にない。希望するID がそのまま使えず、数字を付けることになった。

ポップアップ内のMAP リンク

受験予約の会場選択で、会場にマウスカーソルをあてると[ MAP ] というリンクがポップアップするが、クリックしようとカーソルを動かすとポップアップが消えてクリックできず、戸惑った。

少し試行錯誤した結果、「クリックで住所表示」とあるが、クリックするとポップアップが消えなくなるギミックであることがわかった。

グレイアウトしたクレジットカードアイコン

「受験予約 Step 3 予約確認・お支払」のところで、クレジットカードをアイコンで選択するように見えるがグレイアウトしていて選択できない。推奨ブラウザーの指示に従わずFirefox を使ったせいかと思ったが、IE 11でやってみてもクレジットカードアイコンはグレイアウトのまま。

どうやらここはグレイアウトではなく元からモノクロの画像で、別にクレジットカードを選ぶ必要はないようだ。ひとつ前のページではカラフルなクレジットカード画像が出ていたので、騙されてしまった。

ICT支援員認定試験?ICT支援員能力認定試験?

今日5月6日から

ICT支援員認定 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト

にて2021年度前期(2021年6月13日(日) 13:00~14:30)の試験申し込みが始まった。

そこでこの試験の名称が「ICT支援員認定試験」とあるのを見て、「あれ、もうちょっと試験名長くなかった?」と感じたが、当ブログの名称を確認すると「『ICT支援員認定試験』合格までの記録」だ。おかしいなと思ってさらに確認してみると、やはり一部に「ICT支援員能力認定試験」とある:

ITCE 教育情報化コーディネータ検定試験公式サイト

公式サイトでも「ICT支援員認定試験」「ICT支援員能力認定試験」の表記が混在しており、どっちが正しい試験名なのかわからなくなった。合格すれば合格証に何と書いてあるかではっきりるするだろう。

(2021-07-09追記) 認定証書には「あなたは(中略)令和3年度 ICT支援員能力認定試験に合格したことを証し ここに認定します」と書かれていた。試験の正式名称は「ICT支援員能力認定試験」で、それを「ICT支援員認定試験」と略すことがよくある、ということと理解した。

自作問題4 GIGA スクール構想 解答

  • 1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する
  • これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す

を掲げる文部科学省GIGA スクール構想」の、GIGA とは何の略か。

  1. Global and Innovation Gateway for All
  2. Global and Innovative Gateway for All
  3. Global and Interaction Gateway for All
  4. Global and Interactive Gateway for All
  5. Global and Integration Gateway for All
  6. Global and Integrated Gateway for All

正解は1.の「Global and Innovation Gateway for All」。英文法的に形容詞が来ると思うかもしれないが、2のInnovative だとGateway 自身が革新的という意味になってしまう。イノベーションを生み出す入口・門という意味ならばここは名詞のInnovation でよいのだろう。

自作問題4 GIGA スクール構想

自作問題2の解答

自作問題2 教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度) 学習者用コンピューターの目標

答えは5の「3クラスに1クラス分程度」。1人一台は2019年度からのGIGA スクール構想。

自作問題3の解答

自作問題3 教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度) ICT支援員の目標

答えは4の「4校に1人」。

自作問題4 GIGA スクール構想のGIGA

  • 1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する
  • これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す

を掲げる文部科学省GIGA スクール構想」の、GIGA とは何の略か。

  1. Global and Innovation Gateway for All
  2. Global and Innovative Gateway for All
  3. Global and Interaction Gateway for All
  4. Global and Interactive Gateway for All
  5. Global and Integration Gateway for All
  6. Global and Integrated Gateway for All