ICT支援員ハンドブック p.67 ケーススタディ1 ネットワークプリンターでプリントアウトできない

課題名

課題と課題名がわずかに違うが、本質的な違いはない:

課題 :有線LANで接続されたネットワークプリンタからプリントアウトできない  
課題名:有線LANで接続されたネットワークプリンタでプリントアウトできない  

なお「印刷できない」ではなく「プリントアウトできない」となっているが、確認したところ「プリントアウト」とはコンピューターのデータをプリンターで印刷することを指すらしい。よってこの課題ではプリンターで紙を他の紙に印刷(コピー)できるかどうかは興味の対象外と考えられる。

事例

事例:いつもプリントできているパソコンからプリンタに印刷出力ができなくなりました。前日までは障害なく活用できていたのですが、原因が分からなく困っています。

前提条件

今回はワークショップの事例なので、あえて詳しいことを教えてくれない体になっていることを理解し、報告者に質問・確認依頼ははできないという前提でトラブルシューティングを進める。

現実においては、トラブルシューティングを受けるICT支援員側の身としては、「できなくなりました」や「うまくいきません」ではなく、「実際どういう結果になったのか」を教えてほしい。今回の例なら

  • プリンターがうんともすんとも言わない。
  • 紙は出るが、白紙。
  • 紙は出るが、かすれていて読めない。

のどれなのかを教えてくれるだけで、プリンターの電源が入っているかとか用紙切れかなどを容易に判断できて助かる。

次に大事なのは「エラーメッセージ」。これが表示されているならぜひ教えてほしい。原因調査が効率が一気に上がり、無駄な調査をしなくて済む。

トラブルシューティング

解説例(一般的な対応の手順):
①プリンタの電源が入っているかを確認する。
②トナー切れ・紙切れを起こしていないか、プリンタ側でメッセージを確認する
③プリンタ側・パソコン側のLANケーブルが抜けたり、緩んだりしていないかを確認する。
④プリンタ側・パソコン側にLANのリンクランプがある場合は、点灯しているかを確認する。
⑤他のパソコンからプリントできるかを確認する。
⑥正常に動作しているパソコンのLANケーブルを使ってプリントできるかを確認する。
⑦プリンタのプロパティを開いて、エラーJOBがないかを確認する(あれば削除する)。
⑧プリンタのプロパティを開いて、プリンタの指定が間違ってないかを確認する。
⑨正常にプリントできるパソコンのプリンタのプロパティを開いて、設定内容に問題ないかを確認する。
⑩プリンタドライバが該当パソコンのOSのバージョンに合致しているものかを確認する。

具体的な情報がなく、報告者に追加の質問・確認依頼はできないとすると、今回の事例は「プリンターがうんともすんとも言わない」だと仮定して進める。また※で補足されているように「前日までは障害なく活用できていた」が有用なヒントになる。

最初、報告者がメールや電話でサポートを求めてきたシナリオだと思い込んでいたが、ICT 支援員ならば現場にいることも考えられる*1。もしそうなら最初にやるゼロ番は「再現確認」だ。実際に印刷できないのかどうか自分でやってみることで、どういう状況なのかが伝聞ではない形で理解できる。

  • ①や③は意外に盲点になる。ここで示されているように最初のほうに確認しておくと時間を無駄にせずに済む。
  • ②でプリンター側に何かメッセージが出ていれば解決に大きく近づく。
  • 解決策メモに「紙詰まりを起こしていないか?」とあるが、対応の手順①〜⑩に入っていない。これは②に含まれていると考える。
  • ⑧⑨⑩は前日まで問題なかったことからすると考えにくいので、昨日今日で何か変えたかを報告者にヒアリングしたい*2

結論

私の場合、①②⑤⑦⑧*3くらいやってダメならハードウェアの問題ということで、プリンターの保守業者に連絡することになりそう。

*1:むしろこれまでの話の流れでは現場にいると考えるのが普通か。

*2:しかし、追加の質問はできず自分で調べるしかないという前提にしている。

*3:③④⑥は⑤の結果次第で実施。⑤は②の次くらいにやる。