ICT支援員ハンドブック pp.61-64
「ウィルス対策ソフトメーカーのサイトで最新パターンファイルのバージョンを確認した上で、ネットワークに接続したパソコンのウィルスパターンが最新になっているか、また合致しているかを定期的に点検する。」
こんな風習は聞いたことがない。パターンファイルは自動更新だし、心配ならウィルス対策ソフトの「パターンファイルを最新に更新する」系のボタンを押せば十分ではないのか。
自動更新が信頼できないので手動・目視でも確認しなさい、ということか。セキュリティ事故が発生した後の対策として過剰なルールが定められてしまった残念な組織という印象。
63ページ「ICT機器、校内ネットワークの障害対応ICT」
末尾のICT が余分。
64ページ「HUB」
acronym でもないのに全部大文字になっているのが気になる*1。英語表記するならHub だが、「ハブ」表記と混在しているので「ハブ」に統一したい。
「指導者より具体的に解説する」
「指導者以上に具体的に解説する」の意味でないことを明確にするために「指導者から具体的に解説する」とするほうが好み。
ICT支援員ハンドブック pp.58-61 分類5 ICT環境の運用管理
61ページ「ICT支援員が対応してよい範囲を確認する。(例えば、サーバ、ルータを再起動する、サーバの共有フォルダ内にサブフォルダを新規作成するなど)」
必要・適切と思われるフォルダーくらいはいちいち確認せずに作らせてほしいが、勝手なことをしないほうがいい雰囲気ならそれに従う。
ipconfig コマンド
ipconfigコマンド:パソコンとルータ(一般的にはルータがデフォルトゲートウェイであることが多い)が繋がっているかどうか(通信可能な状態かどうか)の確認や、ルータのIPアドレスや自分のパソコンのIPアドレスを調べたりすることができる。
後半の「ルータのIPアドレスや自分のパソコンのIPアドレスを調べたりすることができる」はいいが、「パソコンとルータが繋がっているかどうか(通信可能な状態かどうか)の確認」にipconfig コマンドを使う発想はなかった。何のことかわからないが、そんなに深く考えて書かれているわけではないと思われるので、よしとする。
ICT支援員ハンドブック p.57 ケーススタディ2 新しい校務システム
想定事例
新しい校務システムが導入され、そのシステムの操作方法の研修会を開催した。しかし、日々の利用はなかなか進まず、特定の先生によるデータ入力はあるものの、全校で徹底ができていない中、学期末となった。通知表の作成等のため、これまで入力していなかった先生達も使うことになったが、操作方法をほとんど忘れており、多くの先生達から同様の質問を受け、ICT支援員の勤務時間内のほとんどを個別の先生への操作方法の説明に費やすことになった。ある日、A先生から「データ入力については、家でやりたい。できるようにならないか。」と相談され、校務システムに一括データ入力ができるよう表計算のシートを作成し、そのファイルを学校至急のUSBメモリに保存して渡した。A先生は、テスト等の資料とUSBメモリを家に持ち帰りデータ入力をし、そのUSBメモリを翌日学校に持ってきた。そのUSBメモリを受け取り、校務システムに一括登録することで、なんとか通知表のためのデータ入力期日には間に合うことができた。
i その問題が起こった原因
まず「その問題」とは何かだが、想定事例で明確に挙げられているのは「ICT支援員の勤務時間内のほとんどを個別の先生への操作方法の説明に費やすことになった」くらいだ。後半のA先生の話の結論は「間に合うことができた」であり、別に問題だとは明示的に書かれていない。ただ「だから後半部分はこれでよいので前半部分のみ考える」ではなく、後半部分も問題だと言いたいのだろう。出題側が問題としたい候補は以下だろう:
- 新校務システムの日々の利用が進まなかった。
- 学期末に、これまで新校務システムを使っていなかった先生たちが操作方法をほとんど忘れていた。
- ICT支援員の勤務時間内のほとんどを個別の先生への操作方法の説明に費やすことになった。
- 校務システムに一括データ入力ができるよう表計算のシートを作成し、そのファイルを学校支給のUSBメモリに保存して渡した。
- A先生は、テスト等の資料とUSBメモリを家に持ち帰りデータ入力をし、そのUSBメモリを翌日学校に持ってきた。
「1. 新校務システムの日々の利用が進まなかった。」の原因
- 新校務システムを導入する理由・意義を先生に納得させることができなかった。
- 新校務システムの操作方法の研修会がわかりにくかった。
- 先生方が忙しすぎて、新しいことを覚えて取り組む余裕がなかった。
想定事例中に根拠があるのは1.で、操作方法の研修しかしておらず、理由・意義の説明はなかったと読み取れる。
「2. 学期末に、これまで新校務システムを使っていなかった先生たちが操作方法をほとんど忘れていた。」の原因
- マニュアルや操作研修のビデオなど、後から見返せる資料を用意しなかった。
「3. ICT支援員の勤務時間内のほとんどを個別の先生への操作方法の説明に費やすことになった。」の原因
- マニュアルを用意しなかった。
- 全部ICT支援員に頼るのではなく、先生同士で教え合う学校風土が出来ていなかった。
- 日々の利用が進んでいなかったので、学期末に問い合わせが殺到した。→ 問題1.に帰結。
「4. 校務システムに一括データ入力ができるよう表計算のシートを作成し、そのファイルを学校支給のUSBメモリに保存して渡した。」の原因
「5. A先生は、テスト等の資料とUSBメモリを家に持ち帰りデータ入力をし、そのUSBメモリを翌日学校に持ってきた。」の原因
もしUSB メモリを紛失したら大変なことになる、といいたいのかもしれない。しかしそれはテスト等の資料を紛失しても同じだ。USB メモリの持ち帰りがダメならテスト等の資料の持ち帰りもダメにしないといけない。したがってICT の問題ではなく、昔から存在する問題。
- テスト等の資料もUSB メモリも家に持ち帰ってはならない、というルールがあるとする(ないなら問題ないことになる)。そのルールが守れなかった、A先生のモラル不足。
- ルールを知らずにA 先生にUSB メモリを持ち帰らせたICT 支援員の無知。
- ルールを知っているにも関わらずA 先生にUSB メモリを持ち帰らせたICT 支援員のモラル不足。
ii 問題が起こらないようにするための対策
「1. 新校務システムの日々の利用が進まなかった。」の対策
- 操作説明だけでなく、新校務システムを導入する理由・意義を先生に理解させる。
- 新校務システムの操作方法の研修会を改善する。
- 先生方の忙しさをなんとかして軽減する。
「2. 学期末に、これまで新校務システムを使っていなかった先生たちが操作方法をほとんど忘れていた。」の対策
- マニュアルや操作研修のビデオなど、後から見返せる資料を用意する。
「3. ICT支援員の勤務時間内のほとんどを個別の先生への操作方法の説明に費やすことになった。」の対策
- マニュアルを用意する。
- 全部ICT支援員に頼るのではなく、先生同士で教え合う学校風土を醸成する。
- 問題1.を解決し日々の利用を進めることで、学期末に問い合わせが殺到することを防ぐ。
「4. 校務システムに一括データ入力ができるよう表計算のシートを作成し、そのファイルを学校支給のUSBメモリに保存して渡した。」の対策
- VPN のような安全なネットワーク接続環境が用意することで、USB メモリがなくとも家で仕事できるようにする。
- A 先生に日々計画的に新校務システムを使ってもらう。
- A 先生の忙しさをなんとかして緩和する。
「5. A先生は、テスト等の資料とUSBメモリを家に持ち帰りデータ入力をし、そのUSBメモリを翌日学校に持ってきた。」の対策
- テスト等の資料もUSB メモリも家に持ち帰ってはならない、というルールがあるとする(ないなら問題ないことになる)。A先生にそのルールを守らせる(研修、誓約書、懲罰など)。
- ルールを知らずにA 先生にUSB メモリを持ち帰らせたICT 支援員にもっと勉強させる。または別のICT 支援員に変える。
- ルールを知っているにも関わらずA 先生にUSB メモリを持ち帰らせたICT 支援員にルールを守らせる(研修、誓約書、懲罰など)。または別のICT 支援員に変える。
ICT支援員ハンドブック pp.54-56
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55ページのワークシート例にもこの文が出てくる。
付箋(大きめのポストイット)
最初の糊付き付箋製品であるポスト・イット(英語: Post-it 登録商標、1980年発売)は、アメリカ合衆国の化学メーカー3Mによって開発された。1969年、3Mの研究員スペンサー・シルバーは、強力な接着剤を開発中に、たまたま非常に弱い接着剤を作り出してしまった。当初この弱い接着剤は用途が見つからなかったが、1974年に3M研究員アーサー・フライが、本の栞に応用できないかと思いついた。このエピソードは、偶然から大発明を生む「セレンディピティ(偶察力)」の典型例として知られる。
ルーブリックの4項目
「分類4 学校運営と情報管理」のルーブリックは6ページにあり、その4項目とは以下:
- 校内での情報共有の支援
- 校務へのワープロ、表計算ソフトなどの活用支援
- 保護者、地域への情報発信の支援
- セキュリティポリシーの運用支援
④ B-1~4グループでのA-1~4グループの代表同士の話し合い(20分)
56ページの参加者向け説明を読むとわかりやすいが、A-1グループでは「校内での情報共有の支援」を4人で話し合う。次にB-1~B-4の各グループでは、
- A-1グループで「校内での情報共有の支援」を話し合った4人のうちの一人
- A-2グループで「校務へのワープロ、表計算ソフトなどの活用支援」を話し合った4人のうちの一人
- A-3グループで「保護者、地域への情報発信の支援」を話し合った4人のうちの一人
- A-4グループで「セキュリティポリシーの運用支援」を話し合った4人のうちの一人 が集まって、違うトピックの4人でグループを構成し話し合うことを指す。
55ページ「何を積極に行うとしますか。」
やや不自然。「何を積極的に行いますか。」が普通。
56ページ「アイデアを交流して」
「テーブルを話し合って」→「テーブルで話し合って」
ICT支援員ハンドブック pp.51-53
「日々の学習や生活の可能な限り伝えて」→「日々の学習や生活を可能な限り伝えて」
カレンダ
英語の発音としては長音かどうか微妙だが、伝統的な表記はもちろん「カレンダー」。同様の例ではuser は「ユーザ」より断然「ユーザー」派。
「行事予定をカレンダ形式に成形」→「行事予定をカレンダー形式に整形」
ICT支援員ハンドブック pp.46-50 分類4 学校運営と情報管理
48ページ「パートナ」→「パートナー」
49ページ「魅力的なフォルダ構成」
面白い表現。そのようなフォルダ構成に魅了されてみたい。
50ページ「教職員の意図をどのようにすれば理解できるかを憶測できる」
「憶測」はマイナスイメージの言葉でこの文脈では不適切。「推測」が普通。
ICT支援員ハンドブック pp.40-45
電子黒板普及推進に資する調査研究事業サイト
http://edusight.uchida.co.jp/e-iwb/ はリンク切れ。ドメイン名としては内田洋行のサイトだが、コンテンツを見つけられなかった。
41ページ「ワークシート(資料1をA3大に拡大印刷)」は43ページにある。
44ページ
1枚の付せん紙には1つのことだけを書く
パソコン室のとき、教室でのときなど、場面を示して想起させる
句点を付けるか、先頭に箇条書きであることを示す「・」などを付けたい。
「講師から各グループに成果にコメントするとともに、」
助詞「に」の連続が少し気になる。普通に直すなら「成果について」だが、45ページに印刷用の資料2があるため、なんとかこの44ページ内に収めようと字数を削ったのかもしれない。それであれば「講師から各グループの成果にコメントするとともに、」でどうか。